「クワイエットルームにようこそ」やばい、超ヤバイ。

おくれてるんだろうけども、
クワイエットルームにようこそ」を観た。なんの予備知識も持たずに観たので、
最初はハリウッドのホラーものかなにかかと思っていた。

ところがところが、なんとこれが日本映画で、なんと主演が内田ユキだ。
映画に関しては日本製はすべからく「REX」であるという偏見に凝り固まったぼくにとっては、「つまんない糞で当たり前」「低予算でお寒い戦国自衛隊のような地獄の時間」が代名詞の、「日本はこれだから」の憂鬱で悲しくもあるシロモノ。

で、ごめんなさい。びっくししました。
本当に面白かったです。

監督は松尾スズキ松尾スズキ。松尾。だよなあ。
以前なんかのコラムをまとめた本の中で、河合かずみの自殺を「あり」とかほざいてた狂人。20台のほとんどをヒモで過ごし、ずっとゲームをやりつづけ、結婚した奥さんは物凄い美人だったらしいが精神的な病で、(嫁さんの同級生は昔渋谷で同じバイト先で働いていて、きつい性格の人だったそう。)医者の薬を服用しはじめたら母乳が出るようになって、それが又うまい、とか書いてた素敵なおじ様。

その後離婚したそうだがこの映画の原作は奥様との結婚生活の半ばノンフィクションなのでは無いだろうかと思われる。映画前半のひたすらに軽いノリ、芸能に携わるフリーランスな人々の、カラフルだけどどこかリアリティのスカスカな生き方の中、話はジョジョに重みを増し、最後には超弩級ハードコア欝テンションへの誘い。

おしゃれで可愛らしい情景をバックに積み上がっていく酒類の空き缶とデカダンと、傷つき孤独な癒しがたい心。まあ内田ユキはあれだけど、ダンナのクドカンもらしかったし、緊張するとすぐ顔が痙攣するとか漫画っぽくて好きだったし、蒼井優とか、大竹しのぶとか、強力なキャラクタが周りを固めてすごいの何の。

見事に釣られてしまいました。誘導の巧みさでは屹度近年まれにみる名画だと思います。

松尾スズキ、日本映画。

古い考えは捨てちゃおう。早く早く。

クワイエットルームにようこそ (文春文庫)

クワイエットルームにようこそ (文春文庫)