マナリーのピーター

特に書くことが無いので、また旅の話でも書かせてもらおうかと思う。今よりずっと若くて、ばかだったぼくは、学校を卒業したものの何をしたいということも無く、かといって就職する気も全くなかったぼくは、フリーター生活に埋没しあらゆる方向に煮詰まったように感じていた。自分をどうにかしなくては、と常に迷い考えつつも、かといってどうにかするわけでもなくバイトと寝るだけ、というパターン化した悶々とした日々を送っていた。

ある日親戚の結婚相手という人と会った。何だか垣根の無いような人で気さくな人だなと思った。彼が就職もしたくない、かといってこのままでも居たくないという自分に、何気なく「インド行けば・・・。」とのたまった。その人の所為にするつもりもぜんぜんないがこれがぼくが生まれて初めて外国に行ってみようかと本気で考え出したきっかけだった。彼は結婚前、1年半程世界を放浪し、中米で金が尽きて日本に帰ってきて、今は鍼灸師をやっているのだった。

ぼくはバイトの昼休み、HISに電話してデリー行きのチケットを予約した。

つづく