雑感

伯母が亡くなった。
肺がんだった。

そんで、明日は通夜だ。映画の「お葬式」ばりの、非常に良くあるようなイザコザがあり・・・
まあ、そのことについては故人の名誉を汚すような事なのであまり書きたくない。

で、伯母との思い出だが、実に強烈で・・・。ぼくの父の姉で、その思い出は父と関係している。
伯母さんは会社を経営しており、外車に乗っていて、いつもたばこをぷかぷかとやっていた。
幼い頃はぼくは凄くかわいがられて、動物園に連れて行ってもらったり、おもちゃを買って貰ったりと、何くれとなくお世話になった人である。

ぼくのお調子乗りで、よく喋る(!幼い頃はぼくは実に良く喋る子供だった。今は見る影もないが)性格をみて、「この子は営業向きだね」とよく言っていた。幼少の頃のぼくの伯母の印象は、おっかないけれども優しい、羽振りのいいおばさんといった感じだった。

ある日、父が脳梗塞で倒れ、不具になった。
そばに居ながら異変に気づかなかったぼくは伯母から随分責められた。
「家族なのに、なんで気づいてやれなかったんだ。」ぼくは返す言葉もなく、塞ぎこんだ。
以来自分を責めてトンチンカンな方向に暴走した。「ぼくはバカだ、屑だ、人殺しだ・・・」と。
それ以来あまり伯母とは会いたくなかったので、随分長く会わなかった。
伯母は事業を父に託そうとしていたらしく、その落胆も大きかったのだろう。
昨年末、病床の伯母を見舞ったとき、真っ先に口をついて出たのは、
「仕事は大丈夫なのか」だった。仕事はしているし子供が生まれたことを伝えると、ぼくの子供に会いたいと言った。声は細いがはっきりとしていて、とてもやつれてはいるが怖い伯母のままだった。
それが最後の会話となった。

納棺式にて、仏になった伯母からは生前の厳しさや激しさは微塵も感じられず、ただの闘病に疲れたおばさんという感じで、気が抜けてしまうようだった。ぼくは仏に手を合わせて「おばさん、最後までご心配ばかりおかけして、本当にすみませんでした。ご恩を返せず残念ですが確りがんばります。」と話しかけて、低頭した。

自分勝手な話だが初めてちゃんと詫びる事が出来た。
そして今、優しく怖い伯母さんも逝ってしまったのだとしみじみとしている。