八日目の蝉

角田光代の「八日目の蝉」を読んだ。深夜ラジオで大田光が絶賛しており、今年最高のエンターテインメント小説のひとつだと断言してはばからなかったから。で、読後の今、確かにすばらしかった。なにが、といわれると困るけど、これは映画化されるだろう、と密かに確信している。映画で見たいと思うほど、構成の妙、よく考えられていて満喫できる。主人公は女性で、女性でないとわからない様な気持ちが物語に点火、発車させているのだが、読み手は女性であろうが男性だろうが関係なく引き込まれるのではないかと思う。

ネタばれになるのはいやだけど、アマゾンのレビューにはもっと熱いコメントが寄せられている。以下はこの本の紹介。

逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか−−理性をゆるがす愛があり、罪にもそそぐ光があった。家族という枠組みの意味を探る、著者初めての長篇サスペンス。

残念ながらぼくは最後で泣かなかった。でも、映画で見ていたら、きっと泣いているかもしれない。さまざまな人生の交差、運命の綾の不思議さ。作り話だとわかっていても、演出の上手さとリアルさでちっともしらけない。つまり、この著者が上手いって事。それに尽きると思う。