かあちゃんの休日

「あんたがたは勤務時間・休日があり、生意気にも有給休暇まである。育児を専らとする我ら主婦には」
・・・なんだね。
「休日の区切りは愚か、一日の勤務時間の規定すらも無い。」
・・・確かに。そのとおりである。
「依って、私と夫の転勤でコチラに居る幼馴染(2児の母)とに、休養の時間として、本日一日、育児業の交代を要求したい。」
・・・非常に申し訳ない。返す言葉も無い。謹んで引き受けよう。

というような経緯で、今日は妻と友人二人でお買い物ツアーへ、ぼくはせがれのすけと共に留守居。安請け合いはしたものの、少し不安だった。何しろ数秒と母親と離れていられぬ甘えん坊であるからして。11時過ぎにいつもより少しおめかしして母親は出て行った。

ところがところが・・・。
奴さん、はぼくが考えていたよりずっと賢かったようだ。相手を見て愚図っていたようで、ぼくのように情に薄い人間というのを判断するらしく、実に聡く、大人しかった。

ふたり、公園に光臨す

いい加減家の中で退屈しはじめたすけを見兼ねて、外出しようと決意。厚着をさせて近所の公園に赴く。お気に入りの手押し三輪車に乗って・・・。公園に着き、すけを降ろす。きっと、数歩歩まずに「うえ〜ん」とはじまるに決まっている・・・とおもいきや、しばらくもじもじしてからすたすたと歩き始める。公園内をぐるぐると。ぼくはぽてぽてとゆっくり歩きながらついてゆく。

そのうち公園の出口、10センチぐらいの段差を行ったりきたりするのがブームになったようだ。片足を段の上に乗せるはもう容易に出来るが、残る足を上段に持ってゆくのにしばし悩む。上手く脚を上げられず引っ掛けて転ぶ危険性を勘案しているのだ。これは少しオドレイタ。こいつ、知恵づきやがったな。ゆっくりと、足を持ち上げる。手伝いたいが絶対にしない。失敗しなければ知恵の実は口にしても血肉にならない。こけた、立ち上がる。こけた、立ち上がる。手で後に続く足の腿をひっぱて段上に上げる。「えらい!」思わず声をかけた。「う〜」とコチラを見て笑う。

とうちゃんだって、すけと同じように毎日失敗して、時には怒られて、それで何とかやってるんよ。

新しい現場、全く知らない新しい技術、人間関係・・・・。
そう言ってやりたかった。どんどん失敗しよう。そしてどんどん覚えようぜ。そんなの知ってるばかげてると思うような事ほど、知ってないケースは多いんだ。迷惑かけたら素直に謝ろう。でも、できるだけ同じ失敗を繰りかえすのはやめような。
もう、すけに言ってるのか自分にいってるのかわからなくなっていた。

子供と公園に行くのは勉強になる。マジで。